傍らにいるだけで
野菜が嫌いな子どもが多いですが、子どもによっては、特に嫌いな食材の場合、まるで親鳥が雛に餌を口伝えで与えるように、箸で口元まで運ぶことで、ようやく食べることができるということがあります。ある時食堂に一人だけ残って、手つかずの小鉢のおひたしを恨めしそうに見ている子どもがいました。たまたま近くに職員がいなかったせいか、少し離れたところにいた私を呼んで、「先生来て、先生がいないと「いっきの力」がでない」と言うのです。私はおひたし完食に至る戦略を練りながら、子どものところに行き横に座りました。すると驚くべきことに、彼は小鉢をつかむとおひたしを箸で文字通り「いっき」に口の中に押し込んだのです。私が「戦略」を展開する前に、勝負は一瞬にして決したのです。カウンセラーである私は、長らく、子どもと「共に在る」ことの重要性を知っているつもりでしたが、この時ほど、何もしなくとも、ただ傍らにいるだけで子どもの役に立つことがあるということを如実に知らされたことはありませんでした。
小林
が書きました
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